『アンネの日記』が私の愛読書。
とても好きで、
ドイツを旅行した際、
アンネハウスを見たいがためだけに、
アムステルダムに寄ったことがあります。
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この本にはいろんな魅力がありますが、
いちばん印象に残ったのは、
人間の多重性に気づくところです。
アンネは、
「家族や友達と冗談などを言い合ったりして、
明るく話しているときの自分」と
「静かに一人で物思いに耽っている自分」が
まったくの別人であることに気づき、
人間には様々な一面があることを悟るのです。
これは、誰もが成長するに従って、
発見することでしょう。
しかし私は、こういう気づきとは違って、
同じ時間にふたりの自分が同居しているのを
感じたことがあります。
今から2年半ほど前、
私は母を病気で亡くしました。
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息を引き取ったとき、私は泣いてしまったのですが、
それとは別に、
もうひとりの自分が、
泣いている自分を冷静に見つめているのです。
それは、今までにない不思議な感覚でした。
あれは何だったのだろうとときどき考えるのですが、
やはり自分という存在は、
ひとりではないんだなと考えています。
肉体としての人間の存在は仮の姿。
精神の奥に、
じつは本当の自分がいるのだと考えています。