terra〜物語のガードナー

物語を紡ぎ出すことに人生を費やしているインディーズ作家・多部良蘭沙が、日常で感じたことを綴るブログです。どうぞ、よろしく!

壁を超えて愛されるエンタメ

 

私は飽きっぽい人間です

ひとつ気に入った本を見つけると、

その著書や関連書籍を読み漁るのですが、

たいがいどこかで飽きてしまいます

 

しかし、これだけは別!

というジャンルがひとつだけ

 

それは〝脱北者の手記〟です

 

北朝鮮がたいへん特殊な国で、

その社会そのものに関心があるから、

というのが第一

 

しかし同時に心惹かれてしまうのは、

人間そのものが描かれている点です

 

たとえばひとは極限状態に陥ったとき、

いったいどんな行動を取るのか?

 

統制された管理社会で暮らしていても、

はたして人間性は残されているのか?

 

そこに興味が注がれるのです

 

 

さらにそういった本を読み漁っているうちに

ひとつ気づかされたことがありました

 

それは〝エンタメへの渇望〟です

 

すべての娯楽が

政治プロパカンダ化されている専制国家で、

人民は西側の歌や映画、ドラマなどに

楽しみを見出そうとします

 

しかしご存知のように、

これは非常に危険な挑戦で、

見つかれば拷問、強制収容所

そして公開処刑もあり得るのです

 

にもかかわらず、

それに群がる人民が絶えない

 

「空腹な上に、命がけ。

 それを押しても、だなんて!」

というのは少々不思議ですが

 

しかし逆に言うと、

それだけの魅力があることの証でもあります

 

人はパンのみに生きるにあらず——

イエス・キリストの言葉です

 

精神面でも満たされることの

大切さを謳っているとされています

 

それが現代社会においては

エンタメもその役割の一部を担っている

一部ではないか?

 

もちろん国民が幸福な人生を送るために

政治が正しく機能していることは欠かせません

 

しかしたとえ過酷な状態に置かれても

エンタメはその壁をも超えて愛されてしまう——

そこになんとも言えない喜びを感じるのです。

 

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