terra〜物語のガードナー

物語を紡ぎ出すことに人生を費やしているインディーズ作家・多部良蘭沙が、日常で感じたことを綴るブログです。どうぞ、よろしく!

〝ファスト映画〟が観られる理由

 

 

先月、

ファスト映画をネットに上げたことで

容疑者が捕まったというニュースが流れました。

 

これは本編を10分程度の長さに編集し、

投稿者独自の内容解説をつけたもの。

 

本筋の要点を拾い上げ、

ラストの展開にまでふれているため

短時間で全編の内容が

把握できてしまうという〝スグレもの〟

 

ただ、

これによって作品の鑑賞機会が奪われるため、

法律で禁じられているわけです。

 

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が、ここで私が語りたいのは

事件そのものの話ではない。

観る側の話です。

 

こういった犯罪が起こる背景には、

まちがいなく需要があるから。

 

なぜ、

人はファスト映画を観るのか?

 

ひとつには

時間が惜しいからでしょう。

 

2時間かけるところを10分で済ませられる。

いそがしい現代人にはぴったり。

 

でも、

それでストーリーやネタバレは頭に入っても、

映画を体験したことにはなりません。

 

となると

鑑賞自体が目的ではない——

 

ここで私が思い出したのは、

以前話題になった〝あらすじ本〟です。

 

日本や世界の名作文学の内容を

短くわかりやすい文章でまとめて紹介。

一冊読むだけで何10冊もの名著を

頭に入れてしまえる。

 

いわば〝ファスト文学〟

(とはいっても、こちらは合法ですが)

 

こういった本が売れる理由のひとつは

「知らないと恥ずかしい思いをするから」

ではないでしょうか。

 

もし、

同じ理由でファスト映画が観られているとしたら、

それは〝自分の体面を保つため〟かも。

 

以前、このブログで

レンタル友達の話をしたことがあります。

 

自分には友達がいることを

SNSでアピールするために

いっしょに写真に写ってくれる役者を

レンタルできるという話。

 

ひょっとしたら、

〝ファスト映画は

 これらの話と根っこが同じではないか〟

という気がしています。

 

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